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「アンはHIV/AIDSで両親を失った後、祖母に引き取られたけれど、
その祖母が急にいなくなってしまい施設に保護されたの

家族を失ったショックなのか、元からある脳の障害のためなのか、
授業でも他の子供たちよりも遅れているの

でも彼女は丁寧に教えれば必ず理解してくれるから」 と教えてくれました。

授業が始まると、クラスの中には2列の机があり、
前列には黒板での説明を理解できる子供が座り、
後列には個別に先生達が教えていかなければならない子供が座っています。

その後列の端の方にアンの姿がありました。

よく見ると彼女は、まだ数字を全て覚えていないのか、
数字にならない文字をノートいっぱいに書いていました。

私が数字の表を指差しながら、正しい数字を教えると、
嬉しそうな表情を浮かべながらアンは一生懸命、数字を書き取っていました。

授業が終わって、他の子供たちが外に出て行ってしまっても、
アンだけは最後まで教室に残っていました。

教室の外で遊んでいる子供たちには目もくれず、
最後の引き算の問題が終わるまで一生懸命、机に向かっていました。

大変な境遇にあっても一生懸命に頑張るこの子達と
一緒に過ごす中で、何度も強い口調で先生が、

「子供に罪はない、彼らは生きていかなければいけないのです。」

と私に話してくれたのがとても印象的でした。

最終日になって、私が帰る準備をはじめると、
子供たちが、「もう帰るの?」「また明日も来るよね?」と聞いてきました。

私が「今日で最後なの」と言うと
みんな静かに門のところまで着いてきてくれました。

その中の女の子が 「スズキはここが好き?」と聞いてきたので

「好きだよ」と言ったら、

「じゃあ、私たちのこと忘れないでね」
と言って教室に帰っていきました。          文:鈴木奈津美
E 『私たちのこと忘れないでね』
 鈴木 奈津美さん(看護学生):2007年6月〜7月 


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